防音製品評価基準
SPECC が策定した防音製品の性能評価基準について詳しくご説明します。各製品カテゴリーごとの評価方法、測定基準、性能指標を分かりやすく解説いたします。
評価基準の目的
消費者が防音製品を選択する際の客観的な指標を提供し、製品間の性能比較を可能にすることを目的としています。
策定の背景
防音製品の性能表示が統一されておらず、消費者が適切な製品選択を行うことが困難な状況を改善するため策定されました。
評価方法
JIS規格に準拠した測定方法を基本とし、実際の使用環境を考慮した独自の評価項目を追加して総合的に評価しています。
製品カテゴリー別評価基準
防音カーテンの評価基準
主要評価項目
- 音響透過損失(TL値)
- NRC(騒音低減係数)
- 遮音性能等級
- 吸音性能
測定方法
JIS A 1416に準拠した残響室法による音響透過損失測定を基本とし、実際の窓への設置状態を模擬した測定も実施します。
性能グレード分類
グレード | TL値(dB) | NRC | 適用用途 | 期待効果 |
---|---|---|---|---|
プレミアム | 25以上 | 0.8以上 | 録音スタジオ、楽器練習室 | 高度な防音・吸音効果 |
スタンダード | 15-24 | 0.5-0.79 | 一般住宅、オフィス | 日常騒音の軽減 |
ベーシック | 10-14 | 0.3-0.49 | 軽微な騒音対策 | 基本的な遮音効果 |
防音室の評価基準
主要評価項目
- 遮音性能(D値)
- 残響時間(RT値)
- 構造強度
- 気密性能
測定方法
JIS A 1419-1に準拠した現場測定法により、実際の設置環境での遮音性能を評価します。内部音響特性も併せて測定します。
防音室性能比較
タイプ | D値(dB) | RT値(秒) | 構造 | 推奨用途 |
---|---|---|---|---|
プロ仕様 | 40以上 | 0.3-0.5 | 二重壁構造 | プロ録音、放送スタジオ |
セミプロ | 30-39 | 0.4-0.7 | 強化単層構造 | 楽器練習、配信 |
一般用 | 20-29 | 0.5-0.9 | 単層構造 | 趣味、軽音楽 |
じゅうたんの評価基準
主要評価項目
- 床衝撃音遮断性能(ΔL値)
- 歩行音軽減効果
- 厚み・密度
- 耐久性
測定方法
JIS A 1440-2に準拠した床衝撃音測定法により、軽量・重量衝撃音に対する遮断性能を評価します。
衝撃音遮断性能
等級 | 軽量ΔL値(dB) | 重量ΔL値(dB) | 厚み(mm) | 適用場所 |
---|---|---|---|---|
高性能 | 25以上 | 15以上 | 15以上 | 集合住宅上階 |
標準 | 15-24 | 8-14 | 8-14 | 一般住宅 |
基本 | 10-14 | 5-7 | 5-7 | 軽微な対策 |
その他製品の評価基準
対象製品
- 防音パネル・ボード
- 吸音材
- 防音ドア・窓
- 遮音シート
評価方法
製品特性に応じてJIS規格に準拠した測定方法を選択し、実用性を重視した独自評価項目を追加して総合評価を行います。
製品別性能分布
防音パネル・ボード
防音ドア・窓
よくある質問
評価基準はどのように策定されていますか?
JIS規格を基本とし、実際の使用環境での性能測定結果と消費者ニーズを総合的に検討して策定しています。専門委員会での審議を経て決定されます。
評価基準は定期的に見直されますか?
技術の進歩や市場動向を踏まえ、年1回の定期見直しを実施しています。必要に応じて基準の改定や新項目の追加を行います。
測定はどこで行われていますか?
SPECC認定の測定機関または大学研究機関の音響実験室で実施されています。測定結果の信頼性確保のため、複数機関での相互検証も行っています。
消費者はどのように活用できますか?
製品選択時の客観的指標として活用できます。用途や予算に応じて適切な性能レベルの製品を選択する際の参考としてご利用ください。
関連資料・お問い合わせ
評価基準詳細資料
各製品カテゴリーの詳細な評価基準をPDFでダウンロードできます。
用語解説
防音・音響に関する専門用語を分かりやすく解説しています。
技術相談
評価基準に関するご質問や技術的なご相談を承っています。